適切なケアを行わないと重症化し、日常生活に大きな支障をきたすこともあるのが褥瘡の怖いところです。褥瘡は早期発見と適切な予防策が重要となるため、介護士は褥瘡の前兆を理解しておく必要があります。
褥瘡は身体の一部が長時間圧迫されることで血行が悪くなり、皮膚やその下の組織が損傷することで発生する症状で、初期症状としては圧迫されている部分が赤くなります。これは、血行不良によって皮膚に酸素が行き渡らなくなっているサインなので、見逃さないようにしましょう。

この段階では、まだ皮膚の表面に傷はできていません。しかし、圧迫が続くと、皮膚に水ぶくれのような水疱や、紫色の斑点である紫斑が現れることがあります。
さらに悪化すると、皮膚が破れて浅い傷ができます。これが、浅い褥瘡です。
褥瘡が深くなると、傷が皮膚の奥深くまで達し、急性期を過ぎたころに傷口が黒ずんで壊死組織が現れます。これは、組織が死んでしまった状態です。重症化すると、皮膚の下に空洞ができたり、細菌感染を起こして膿が出たりすることもあります。

介護士が皮膚が赤くなっているのを見つけた際に、褥瘡かどうか判断に迷う場合は、人差し指で赤い部分を3秒ほど軽く押してみてください。押したときに白くなり、指を離すと赤く戻る場合は、褥瘡ではないと判断できるでしょう。
しかし、押しても赤いままであれば、初期の褥瘡の可能性があります。高齢者の体に少しでも異変があることに気づいたら、すぐに医療機関や介護士に相談することが大切です。