皮膚が圧迫されることで血行が悪くなり、組織が壊死してしまう皮膚障害を褥瘡といいます。適切なケアを行わなければ、重症化してしまう恐れもあるため、介護士は褥瘡の発生しやすい部位を理解し、予防に努める必要があります。
褥瘡は、骨が皮膚のすぐ近くにある部位、つまり骨が突き出ている部分に発生しやすくなります。これは、骨が皮膚とベッドなどの接触面の間で圧迫を受けやすいためです。

褥瘡が発生しやすい部位は、寝ている姿勢によって変化します。仰向けで寝ていることが多い高齢者の場合、後頭部、肩甲骨、仙骨、かかとなどが褥瘡の好発部位となります。後頭部は、頭蓋骨によって圧迫を受けやすく、肩甲骨は背中の上部にある骨で、痩せている高齢者では特に圧迫を受けやすい部分です。
仙骨はお尻の上部にある骨を指し、体重がかかりやすいため褥瘡が好発します。かかとはも体重がかかりやすく、褥瘡ができやすい部位です。

横向きで寝ていることが多い場合は、耳、肩、肘、腸骨、膝などが褥瘡の好発部位となります。耳は、頭蓋骨の一部である側頭骨が皮膚のすぐ近くにあるため、圧迫を受けやすく、褥瘡ができやすいです。肩は、肩甲骨や上腕骨といった骨が皮膚の近くにあるため、圧迫を受けやすくなります。
肘は、上腕骨と尺骨という骨が出っ張っているため、圧迫を受けやすいです。腸骨は骨盤の一部で、横向きに寝ると体重がかかりやすく、褥瘡ができやすい場所です。膝は、大腿骨と脛骨が出っ張っているため、圧迫を受けやすい部分です。これらの部位を重点的に観察し適切なケアを行うことで、介護士は褥瘡の発生予防に貢献できます。